ダスキン-65歳まで同じ職場で、フルタイム、賞与も支給
2月28日 日経産業新聞からの抜粋+一部編集です。
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ダスキン―65歳まで同じ職場で、フルタイム、賞与も支給
ダスキンでは定年退職者が希望すれば、原則として同じ職場で65歳まで働き続けることができる。
創業50年を迎える同社は成長期を支えた人材が定年を迎える時期にさしかかっている。
30代を中心とする中堅・若手社員に長年培ったノウハウを伝える役割も担う。
大阪府吹田市にあるダスキンの大阪中央工場。
レンタル先から回収されたモップやマットが巨大な機械で洗浄されるフロアの上階に、開発研究所がある。
商品研究開発部フィルター・説明商品研究開発室の森宣紀さんは飲食店などで使うオイルフィルターから油汚れを取り除く研究を担当している。
1974年入社の森さんは、長年洗剤の研究に関わってきた。
2011年9月に定年を迎えたが、「リタイアするにはまだ早い」と感じ再雇用を希望した。
年金が全額支給される65歳まで安定した収入がある点も魅力的だったという。
森さんの契約は週5日、9時から5時までフルタイムで働く「嘱託A」という形態だ。
給料は定年前の約半分に減ったものの、残業代も付いてボーナスも出る。
1週間の労働時間に上限を設けるC、Dという形態もあるが、森さんは従来と同じ環境を求めた。
「定年から約1年半たったが、違和感はなく働きやすい」
と話す。
現在、8人いる洗浄研究の部署で後輩を指導しながら新フィルターの商品化に必要な洗浄技術の確立に取り組む。
油の種類や環境により汚れは千差万別。
森さんは豊富な洗剤の知識と経験を生かして若手社員に問題解決のヒントを提示するなど、人材育成に一役買っている。
同社の現場で活躍するシニア社員は現在約100人。
全国各地域の加盟店とのパイプ役を務めたり、もう1つの事業の柱である外食のミスタードーナツ事業で店舗運営を指導したり、活躍の場は幅広い。
基本的に定年時に在籍していた部署に残ることになっており、定年前の2年間でよほどの低評価を受けない限りはほぼ全員が定年雇用の資格を満たす。
昨年度の応募割合は全体の6割である13人が再雇用を選んだ。
同社が定年再雇用制度を導入した06年には再雇用率が2割超と低かった。
その原因について人事部人事労務室の橋本幸子室長は
「当初は職種を指定して応募する仕組みだったため」
と説明する。
職場が変わるのをためらう人が多く、退職後に趣味など第二の人生を優先する傾向が強かった。
転機となったのは11年だ。
上限年齢を現在の65歳に引き上げ、現行の定年時の職場で継続して働ける制度に改めた。
従来は管理職扱いだった加盟店のエリアマネジャーなどを新たに加えて職域を広げたこともあり、応募が増えたという。
各職場でもシニア社員の増加は好意的に受け止められている。
同社はバブル後のいわゆる「就職氷河期」に新卒採用を絞った結果、30代の中堅社員が極端に少ないという。
ベテランの退社で現場の負担が大きくなるのを避ける意味で再雇用は大きな役割を果たす。
4月の改正高年齢者雇用安定法の施行後もおおむね今の制度を維持していく考えだ。
ただ、制度の運用については、現在のように急に給与水準を下げるのではなく
「段階的に引き下げる方式も検討していきたい」(橋本室長)
としている。
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制度ありきの人材登用ではなく、人材ありきの制度活用が良いという事なのでしょうね。
まずは自分の会社を見て、どのような制度設計が良いかを考えた上で導入する。ごくごく当たり前の事だとは思いますが、その当たり前のことが大事なのでしょうね。
モチベーションを上げるという意味でも制度は大事です。
ただそれ以前に、会社に働いてくれている従業員へのねぎらいの気持ち、感謝の気持ち。
そして、個人個人の特徴を理解した上での継続雇用・配置転換が大事なのかもしれません。
ダスキン社のやり方から、大いに学ぶべき点があるように思います。