愛社精神どう育てる?グローバル企業の悩みのタネ、エクセディから学ぶ方策

人事ニュース

7月24日 日経産業新聞からの抜粋です。

 

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愛社精神、どう育てる?、グローバル企業の悩みのタネ、エクセディから学ぶ方策

 

 

グローバル化競争が激化し、海外拠点を増やす国内メーカーが増えている。

海外の従業員比率が高まるなかで、どのように会社のアイデンティティーを統一して愛社精神を育むのかは各社共通の悩みだ。

自動車部品メーカーのエクセディは身の回りのあらゆるモノをコーポレートカラーで統一することで、愛社精神を生み出そうとしている。

 

エクセディはクラッチなどを製造し、世界18カ国で事業を展開する。

グループ社員は約1万4000人で、うち半数以上が海外で働く。

 

同社のコーポレートカラーは青と白。

現在、これをなぞって全社員が社内では胸から下が青、上が白の制服を着ている。

海外の拠点はもちろん、日本の非正規社員に至るまで同じだ。

 

色を統一するのは服装にとどまらない。

工場の外壁から設備、フォークリフトなどまで下は青、上は白のツートンカラーだ。

これも海外拠点にまで徹底した。

 

3月に大阪府寝屋川市に移転した新本社もエレベーターのボタンの色に至るまで青と白で統一。

オフィスを見ても青の椅子に白壁のコントラストが際立つ。

 

工場の塗装や制服の統一などにかかった費用は3億円以上という。

 

清水春生社長は

「収益性とは無関係にやっている」

と語る。

 

愛社精神という無形の経営資源を得るための費用と割り切る。

 

カラーを統一して会社の一体感を「見える化」するだけでなく、情報の伝達といったソフト面でも工夫を凝らす。

会社をより身近に感じてもらうため、新社屋移転を機にオフィスや食堂の壁に大型ディスプレーを設置。

自社の株価や社内の出来事を表示して、社員らが常に把握できるようにした。

株価や他の部署の話題も含めて社員が会社全体のことについて話す機会が増えたという。

 

今年からは女子サッカーチームのスポンサーになった。

チームの選手を雇っており、同じ職場の社員が試合の応援に顔を出すようになった。

 

同社は以前から長い時間をかけてグローバル企業としてのアイデンティティー統一や愛社精神の育成に取り組んできた。

まず1995年に社名を以前の大金製作所から、海外でも呼びやすい「エクセディ」に変更。

海外の販売会社に至るまで15年かけて社名変更を徹底していった。

 

その結果、新しい社名の知名度の低さという問題に直面した。

「社員の家族にも知られてない」

「一体感がない」

世界の社員からはこんな声があがった。

 

同社の製品は法人向けで、不特定多数の消費者を対象にした大規模な広告は打ちづらい。

そこで社員の通勤路に集中的に広告を出した。

 

2007年からは、社員からの自主的な取り組みを促すモデルケースとして「ピカピカ活動」を国内外の事業所に浸透させた。

配菅の汚れの清掃や配線のもつれの修復などに至るまで、職場の細かなカイゼン策を提案するよう促した。

コーポレートカラーの統一は10年だ。

 

11年7月からは世界のグループ全社員に「I LOVE EXEDY」のバッジ着用を促している。

東日本大震災では社員が自主的にこの文字が入ったTシャツを着て援助活動に励んだという。

 

こうした、色を統一した制服の着用や改善策の提案などは強制ではない。

ノルマや表彰制度なども設けていない。

ただ、社長以下の幹部全員が例外なく制服を着てバッジをつけているので、実施しないのは難しい雰囲気であることは確かだ。

 

また、社内連絡のほか部門長や責任者の会議では「カイゼン」について聞かれる。

具体的な取り組みが出てこない部署の管理職は居心地が良くないことになる。

 

こうした「暗黙のプレッシャー」を働かせた結果

「会社のためにアイデアを考える習慣が身についてきた」

(三輪和彦I LOVE EXEDYチーム長)。

 

こうした一連の施策の結果、自動車関連の部品メーカーから

「デザインを使った愛社精神の高め方を教えてほしい」

といった問い合わせや企業訪問が相次いでいるという。

 

社員の「見た目」が変わったと同時に会社への改善提案が社員から積極的に出てくるようになったとの評判は、広く知れ渡るまでになった。

労働市場の流動性が高いグローバル社会において、社員の心を動かして愛社精神を生み出すうえでデザインの統一などは有効な道具になると言えそうだ。

 

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従業員に愛社精神をもってもらう。

そのように考え、動いている企業が多いのでしょうか。

 

グローバル企業では、会社独自にやり方で何かしら行っているでしょう。

退職率を減らす為の一つの方法として、共通の服やバッチをつけさせる。

昔から「学校」という組織に属していた分、「何かに属している」と思わせる事は、精神的にも安心を与えるのでしょうね。

みな、仲間だと。

 

優秀な人材を引き留めるという意味でも、今後は愛社精神がテーマになり得るのでしょうか。

 

 

尾登 正幸

ブログ著者:尾登 正幸

埼玉県出身。大学3年生の就職活動期に “人生を楽しむことを手伝える” 仕事での起業を決意。同じ志を持つ仲間と3年後の会社設立を目標として共有し、ノウハウを得るため2006年に人材派遣会社に就職した。2008年12月、仲間と共にRAYERED(株)を設立し、2010年からは代表取締役に就任。ビジョンの共有を核とする人事コンサルティングや、人事適性検査にフィードバックを付けるサービスはリピーターが多い。人事適性検査をフル活用した独自のスキームにより、企業と人のベスト・マッチングを提供している。

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