中国トップのビジネス校、学長に聞く、「日本企業、社員派遣を」

人事ニュース

5月28日 日経産業新聞からの抜粋+一部編集です。

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中国トップのビジネス校、学長に聞く、「日本企業、社員派遣を」

中国の経営大学院としてトップの評価を得る中欧国際工商学院(上海、CEIBS)が日本人学生の誘致に乗り出す。

中国で事業を拡大する日本企業に社員派遣を呼び掛ける。

現地学生と学ぶことで中国への理解や人脈を得られる点をアピールする。

グローバル人材予備軍を巡る大学間の獲得競争は激化しており、ジョン・ケルチ学長に戦略などを聞いた。

――日本人学生を誘致する狙いは何か。

「日本企業の存在感が薄いと感じている。

全日制コースで定員200人のうち、日本人学生は3~4人にとどまる。

これを10~20人に増やしたい。

日本人の卒業生が30人弱なのに対し、韓国人は100人以上いる」

「日本企業が中国市場を開拓したいならまず人の教育に投資すべきだ。

日本で研修するよりも現地に社員を送り込んだ方が個人の競争力を高められる。

企業派遣をはじめ、できるだけ多くの日本人学生を誘致したい」

――中国で経営学修士号(MBA)獲得を目指して学ぶメリットは。

「CEIBSの教員や学生はそれぞれ半数が中国人だ。

残りは米IBMや仏ロレアルなど中国で事業を展開する多国籍企業の社員や幹部で、日本人学生は中国の成長を肌で感じながら生きた経営学を学べる」

「卒業生の9割が中国で就職し、1割は台湾や韓国などアジアで働く。

1万2000人に上る卒業生のネットワークは強く、その1割が中国で経営トップに就く。

人脈がものを言う中国では強力なネットワークの内部に入ることが重要だ」

――大学の特長は。

「中国商務省と欧州委員会が合同で設立した大学で、非常にユニークな存在だ。

中国側と欧州側が総長や学長、理事を出し合い、共同で経営にあたっている。

教育内容については自治を保ち、教員採用や学生選考も大学が独自で行っている」

「中国への深い理解と世界的な視野を備えたリーダー育成を目標に掲げている。

全日制や幹部向けMBAプログラムなどを運営し、英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙のランキングで上位に入るなど世界的な評価を得ている」

――カリキュラムなどどんな特徴があるのか。

「25カ国に上る学生をチームに分け、多様性に富んだ環境を提供している。

中国人学生は数学が得意で会計学や経済学に強い。

一方、共同作業は苦手で、他者に働きかけたり人を育成したりする能力に課題がある。

こうした違いを実感しながら学ぶのは貴重な体験といえる。

中国での企業経営とは何か、文化や社会への理解に基づいて学べるからだ。

その結果、産業界から卒業生は引っ張りだこで、学生は平均7社から採用通知を受け取る」

――中国におけるMBA教育の将来性は。

「産業界の未来を担うリーダー層が不足しているとの認識の下、中国は経営教育を強化中。

元来、起業家精神を尊重する風土もある。

我が校は年内に上海キャンパスの寮を200室増やす。

国内での需要の高まりに加え、中国経済の発展に伴い海外から見た大学の魅力も増すと考えている」

ジョン・ケルチ氏

英ロンドン生まれ。

英ロンドン・ビジネス・スクールなどを経て2009年からCEIBSで教壇に立つ。

11年から現職。

専門はブランディングとマーケティング。

51歳。

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中国の経済成長により、いわゆる逆転現象が起きています。

これまでであれば、経済大国に日本に外国人留学生などが来日し、経営を学ぶ。

しかし、今では日本が中国に学びにいかなくてはならない時代に入りつつあります。

実際、世界の著名人たちは、主に中国で講演を行っています。

昔よく日本に来ていたコーチングで世界的に有名な方たちも、もはや日本には来ません。

講演を聞きたければ、中国に行かなければならないという現状。

今でこそまだ日本は経済大国。

飲食業を中心に、日本企業が安価で外国人を雇っています。

しかし、記事にある逆転現象。

中国の経済成長は著しく、中国企業に日本人が安価で雇われる…という事も重々考えられるのです。

実際、世界的に見て日本人の平均給与は総じて高いとされています。

それが世界基準へと向かえば、給与が下がっていく事が考えられます。

「中国企業に、日本人が安価で雇われる」

今すぐではないにせよ、可能性を否定できるわけではありません。

日本人も今の状況に胡坐をかいていると、すぐにそうなってしまうかもしれません。

実際、日本人の平均労働時間は下がっています。

1970年の日本は、年間総労働時間は2,239時間。

2011年の日本は、1,788時間(※1)でした。

(※1 事業所規模30人以上、5人以上の規模では1,747時間)

機械などの導入により効率が上がったからとはいえ、かなり労働している時間が減っているのですよね。

最も、厚生労働省が1,800時間を切るように指示しているからなのですが…

数字だけでは何とも言えませんが、世界に目を向けておかないと、気づいてからでは手遅れ…なんてことになりかねませんよね。

尾登 正幸

ブログ著者:尾登 正幸

埼玉県出身。大学3年生の就職活動期に “人生を楽しむことを手伝える” 仕事での起業を決意。同じ志を持つ仲間と3年後の会社設立を目標として共有し、ノウハウを得るため2006年に人材派遣会社に就職した。2008年12月、仲間と共にRAYERED(株)を設立し、2010年からは代表取締役に就任。ビジョンの共有を核とする人事コンサルティングや、人事適性検査にフィードバックを付けるサービスはリピーターが多い。人事適性検査をフル活用した独自のスキームにより、企業と人のベスト・マッチングを提供している。

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