FCバルセロナに学ぶ人材育成術-選手育成
【FCバルセロナの人材育成術 なぜバルサでは勝利と育成が両立するのか】
前回は「スカウティング」でしたが、今回は「選手育成」。
バルセロナというチームがサッカーチームを築き上げていく過程において、大事にしている事をご紹介。
チームを磨いて試合に勝利し、優勝をする。
それは、経済界においての組織論と、少なからず繋がる部分はあると思います。
◇FCバルセロナ「カンテラ」テクニカルディレクター アルベルト・プッチ・オルトネーダ氏
FCバルセロナ スクール・コーチ 村松 尚登氏
「どのようにしたら、若いサッカー選手が持つ勝者のメンタリティを鍛える事ができるだろうか。
答えは明らかだ。
勝ち続ける事である。
バルサのようなクラブでは、トップチームと同じようにカンテラでも選手全員に勝利を目指すための競争
意識が叩き込まれる。
勝ち続け、そして勝つ事を習慣付けるのだ。」
「どんなに才能に恵まれた子供でも、負けてばかりいれば、努力しても報われないと思ってしまうだろう。
それはまるで無理な業績を上司から押し付けられるようなものだ。
目標を達成できない事が続くと、人は力を出し切り競う事をやめてしまう。
同じ事が勝者のメンタリティーについても起きる。
若いサッカー選手の頭に勝者のメンタリティーを定着させるためには、指導者は「力を出し切れば勝てる」
というレベルを見極め、そのギリギリのところで目標設定・環境設定してあげる事が重要なのだ。」
◇グアルディオラ
「勝つことは優れた育成と両立できる。
若い頃からしっかり教育する良い方法は『力を出し切って勝つ』ということに慣れさせることだ。
それをさせるには、どうすれば効果的だろうか。
①対戦相手を尊重すること
②自分がクラブを代表していると自覚すること
③指揮する人間がいることを受け入れること
④戦術上の規律を守ること
⑤練習はしっかりさせること
要するに、しっかりやるべきことをやりながら常に勝利を目指す事の大切さを子供たちに教えることが
重要だ。」
今回、こちらの書籍を読もうと思ったきっかけですが、私がバルセロナというサッカーチームを好きなだから…という
理由だけではありません。
人事に携わるものとして、非常に興味深いテーマがあったからです。
それは、
「勝つことと育成は両立するのか?」
というテーマです。
世界最高峰のサッカークラブでは、どのように捉えられているのかが非常に興味深かったのです。
経済界においても、同じ課題があります。
結果重視かプロセス重視か。
結果を出すこと(試合に勝つこと)はもちろん重要だが、プロセス(育成)も大事であると。
結果を重視すると育成がおろそかになりがちだし、育成ばかり重点を置くと結果が出るのが遅くなる。
完全に同じ答えではないかもしれませんが、テーマとしては近しいものがあるのではと思ったのです。
「勝つことと優れた育成は両立できる」
というのが、4年間バルセロナを率い、13のタイトルを取り、数々の最優秀監督賞にも選ばれたグアルディオラ氏の答えなのです。
重要なポイントして、
・勝つことのメンタリティー
・勝ち続け、勝つことを習慣付ける
・目標設定の重要性
・やるべきことをしっかりとやる
という事でした。
なお、ここでは記載していませんが、書籍の本文中にはカンテラの時代から子供たちの思考を鍛えているそうです。
サッカー選手である以前に1人の人間である。
幼少期の頃、サッカーの上達は重要だが、それ以上に1人の人間としての人間性を磨く事を重視しているそうです。
それが、対戦相手を尊重する事や、規律を守る事に繋がっているのだと思います。
失敗は成功の母という言葉もありますが、失敗だけでは競う為のメンタリティーがなくなってしまう。
失敗は必要であるけれども、勝つこと、そして勝ち続ける事も非常に重要なのですよね。
人材の育成というのは、企業にとっても永遠のテーマです。
その最適解を探すためのヒントが、バルセロナにあるような気がします。