「2050年問題と介護」…”10代・20代こそ介護を意識せねばならない””人口減少と介護は密接な問題”

代表のつぶやき

 

これは、勉強しろという事なのでしょうか笑

最近、「介護」というものに触れる機会が増えたように思います。

 

人事関連の仕事している事もあり、介護業界の動きはチェックするようにしています。

新聞記事などで、「介護」の2文字をよく目にするようになりました。

日本介護フットサル協会という団体を通じて、介護業界の話を聞いたり介護従事者とも知り合いになったりしました。

前から知り合いだった介護福祉士から連絡があったり、介護の仕事をしながらフットサルのパフォーマンスをしている友人も身近にいます。

 

たまたまなのでしょうが、介護の事を学ぶ時期というか、そういう流れになってきているのかもしれません笑

これを機に、「介護」に関するblogを書いてみようと思います。

 

私は、今の10代20代こそ、最も介護に関して考えなければならない世代だと思っています。

若い世代が”介護”について考えるのは時期尚早だ…というのは間違いですね。

むしろ、今のうちから考えておかないと手遅れになる…というレベルにまで来ているように思います。

 

 

とは言え、多くの若者にとっては、「介護」なんて遠い存在に見えていることでしょう。

考えたくもない分野かもしれません。

家族に介護従事者や介護施設利用者がいたり、もしくは事故などによって車椅子生活を余儀なくされたりしていない限りは…。

 

多くの若者のイメージは、いわゆる3K(クサイ、汚い、キツイ)という感じかもしれませんね。

正直に言えば、私もそうです。

良いイメージなんて、まったくありません…でした(過去形)。

 

“介護”の問題と言うのは、介護業界だけの問題ではないと考えています。

私たち自身の問題であると同時に、実は日本国、まさに国全体の最重要課題の一つと言っても過言ではありません。

 

その大きな理由の一つに、日本の人口減少があります。

つまりは、「2050年問題」。

2050年には、日本の人口は1億人を切ると言われ、9,700万人になると予測されています。

2015年の人口予測は1億2,600万人ですから、約3,000万人は減少する計算です。

 

内閣府:年齢区分別将来人口推計

 

 ※参照:内閣府:将来推計人口で見る50年後の日本

 

35年後には、約3,000万人の人口が消滅する…。

 

ただ単に人口が減るだけではなく、人口減少と共に高齢者の比率が上昇していきます。

人口が減少するにあたり、全ての年代が均一に減っていくわけではありません。

 

現役世代は減少し、65歳以上の人口の割合が増える…という現象が起きるのです。

2050年には、65歳以上の人口割合が38.8%と予測されています。

つまりは、5人のうち約2人は65歳以上になる…わけです。

 

内閣府:高齢化の推移と将来推計

 

※参照:同上

 

この「人口減少」という現象は、様々な分野に影響を及ぼします。

今の状況を1億2,800万人で維持しているわけです。

3,000万人減少すれば、その分を何かで埋め合わせなくてはなりません。

 

人口減少=労働人口減少です。

経済成長の為には、労働力の確保は欠かせません。

※そもそも、なぜ経済成長が必要なのか…という点はここでは触れません。

 

人口の穴埋め要因として現在考えられているのが、

 ・外国人の活用

 ・女性の社会進出

 ・高齢層の活用

 (・IT化、機械化への転換)

等です。

 

外国人の活用としては、移民問題や留学生30万人計画。

女性の社会進出は、配偶者控除の廃止・縮小案や保育園増設など。

高齢層の活用には、60歳定年制廃止や年金受給年齢の引き上げなど。

さらには、育児休暇の推奨などは、出生率を上げようとする施策の一つですよね。

 

現役世代、もしくは人口自体を増やすもしくは維持せねば、介護業界は成り立たなくなってしまうでしょう。

人員のみならず、介護保険や医療保険にも関わってくる事になり、金銭面(税金)にも影響は出てきます。

ちょっと挙げるだけでも、人口の減少に伴う影響が多方面に渡る事が良く分かります。

 

日本の人口が1億人を切るのが2050年。

それは、36年後の話。

今の10代20代が、40代50代となる時期です。

日本が少子高齢化社会を越えて、少子超高齢社会を迎える最初の世代が、10代20代なのかもしれないのです。

 

日本は、これまで人口が増え続けてきました。

多くの死者を出した第2次世界大戦ですら、大日本帝国の戦死者は300万人前後と言われています。

 

今回のように、数十年をかけてとは言え、3,000万人も減るような事態には遭遇した事がありません。

まさに、未知なる領域。

世界的にも注目されるでしょうし、どんな事が起きるのかは想像できません。

 

何事も、事前の準備が大切。

それは、どんな分野においても言える事なのではないでしょうか。

 

日本に限っては、サッカーワールドカップが終了し、新しい監督を人選する段階に移行しています。

ワールドカップは4年後ですが、既に色々と方向性は考えられています。

「4年後のワールドカップに勝つには?」

そんな議論も、これからどんどん活発化されていくでしょう。

 

なぜ4年後の事なのに、今からそんな事を考えなければならないのか?

言うまでもありませんよね。

4年後に日本がワールドカップで勝つ為には、今から動く必要があるからです。

戦略や戦術は勿論、本番に向けての練習やフォーメーション、人選など、様々な面を考えて実行せねばなりません。

 

「本番でしっかりと結果を残すには、入念な準備が必要である」

 

これは、サッカーを通じても理解しやすい事ですし、ビジネスでも同じ事ですよね。

試合に勝つ為には、本番・当日で良い結果を残す為には、入念な準備が必要なのです。

 

“介護”に限っても、同じことが言えるでしょう。

将来的によりよい介護サービスを受ける為には、今のうちから入念な準備が必要なのです。

何も準備しておかないと、気づいたときには既に遅し。

取り返しの付かない状況になっている可能性だって否めません。

 

人口の減少は、ほぼほぼ確定しています。

現役世代も減り、65歳以上の人口割合が上昇していきます。

しかし、介護士へのなり手が少なく、さらに人手不足に陥っていくでしょう。

様々な問題を抱えている為、対策をしていく必要があるのです。

 

◇小泉進次郎内閣府政務官(経済財政担当)

「50年後に1億人程度の人口を維持する」

「2020年まではみたくないもの見ないまま突っ走れるだろう。

 しかし、それ以降は見たくない現実が全部、襲ってくる」

 

政府側も、人口減少に関しては強く意識しています。

小泉政務官は、2020年問題を提起しています。

上記にもしましたが、人口の減少は全ての業界に影響を及ぼす為、注目すべき課題なのです。

 

個人的に懸念しているのが、介護業界における外国人の活用に関してです。

日本の環境や制度により、日本を去らざるを得ない外国人看護師・介護福祉士候補がいる…という事が起きています。

せっかく日本で働こうと思って下さっているのに…です。

 

先日、日本経済新聞にもその件に関する記事が載っていました。

・日本は、08年にフィリピンとインドネシアとの間でEPA(経済連携協定)を結んだ事

・過去6年間でフィリピンとインドネシアから派遣された介護士候補は1,091人

・その内合格したのは、242人のみ

というものです。

 

※EPAに関しては、厚生労働省のホームページでも紹介されています。

厚生労働省:インドネシア、フィリピン、ベトナムからの外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて

 

しかし皆さん、これ読めますか??

 

「褥瘡(じょくそう)」「嚥下(えんげ)」「腋下(えきか)」。

 

これらは、実際に日本の介護福祉士試験で使用された言葉のようです。

素人の私には全く読めなければ、意味も分かりません。

確かに勉強していれば理解できるのかもしれませんが、日本人ですら難しい日本語です。

それを、外国の介護士候補者が理解しようとするわけですから、やはり難問ですよね。

 

海外の母国では、介護福祉士の資格を保持している。

しかし、日本の介護福祉士国家試験が難しい(日本語も難しい)為に、なかなか合格できない。

その結果、日本で介護福祉士として働く事ができない外国の方が多くいる…というのが現状です。

人手が足りていないという一方で、外国人介護福祉士が働きやすい環境・制度になっているかというと、必ずしもそうとは言えないのです。

まさに、矛盾している状況と言えますよね。

 

かといって、簡単にしすぎても介護福祉士のレベルが下がってしまう。

これは、公認会計士や弁護士等で実際に問題になりましたよね。

人数が少ないからと言って、増やしすぎても質が下がってしまう…。

そのバランスが難しい…。

 

日本で新興国出身の看護師や介護福祉士が増えない理由は

 ・永住資格が取りづらい

 ・給与が低い

 ・試験が難しい

と考えられています。

 

実際、米国の方が人気があるようですね。

年収は日本の2倍だそうですし、グリーンカード(永住権)も取りやすい。

資格の取りやすさは分かりませんが、現状としては米国の方が待遇は良さそうです。

 

加えて、これは日本の独特の文化ですが、

 ・外国人に対する免疫が弱い

というのも、今後影響があるのではないかと思っています。

外国人介護福祉士に面倒は見てもらいたくない…と思う日本人がいても不思議ではありません。

 

日本は島国ですし、鎖国までしていた国。

最近でこそグローバル社会という事で外に目が行きがちになってきましたが、それでもまだまだ国内思考が強いです。

外国人に対する免疫、抵抗感(差別意識ではなくて)等は、精神面で枷になってくるでしょうね。

 

一概に介護と言っても、様々な課題や問題が山積しています。

その根源にあるは、少子高齢化、人口の減少。

更には、介護業界における待遇面での悪さや規制の厳しさなど。

色々な議論が交わされるべきでしょう。

 

避けられない状況が目前に迫っています。

 

「介護」と聞いても、若者はピンと来ないかと思います。

「介護」と聞くと、拒否反応が出てしまう若者もいるでしょう。

「介護」と聞いても、俺・私には関係ないと思う若者も多いでしょう。

 

しかし、自分にとって身近なものとなった時には既に遅いのです。

 

人口が足りないので、外国人に頼る。

どうしようもないので、資格の難易度を下げてでも介護福祉士の人数を増やす。

サービスの低下は免れないが、それでもやるしかない。

満足のいく介護サービスが受けられない、入所したい施設がない、結果的に海外で生活するしかない…。

 

悪い方向に考えてしまえば、いくらでも出てきます。

極端な話に聞こえるかもしれませんが、当然何の対策もしなければ、そうなるでしょう。

 

その状況を経験するのは、現在介護が必要な層ではありません。

今の若者なのです。

10代~20代、もしくは30代・40代なのです。

言ってしまえば、2050年問題とは若者が抱えている問題なのです。

 

いきなり介護を勉強しろ…とは言いません。

自分も、人事に深く携わるようになって、そして30代になってからようやく「介護」を意識するようになりました。

 

まずは、「介護」という言葉に触れる事が大事なのではないでしょうか。

「介護」という言葉を目にする事、耳にする事。

そうやって、少しずつ「介護」という言葉に慣れていく事が最初の段階かと思います。

 

そのうち、「介護」とはなんなのだ?という疑問がわいてきて、知りたくなってくる。

興味が出てきて、新聞記事や雑誌なんかに目が留まるようになります。

そして、次第に自分から調べるようになり、「介護」の事に詳しくなっていく。

 

いきなりでは拒否反応が出ますが、少しずつ慣れさせていくべきだと思います。

若者には特に。

 

10代・20代こそ、介護業界を意識せねばならない。

2050年問題は、今の若者にこそ重要な問題である。

 

どんな形でも少しでも良いので、今の若者に「介護」に対する意識を持ってほしいですね。

それは、間違いなく将来の日本を築く為に必要です。

 

自分たちの未来の為にも、少しずつ問題意識を高めてもらいたいと思います。

 

 

 

尾登 正幸

ブログ著者:尾登 正幸

埼玉県出身。大学3年生の就職活動期に “人生を楽しむことを手伝える” 仕事での起業を決意。同じ志を持つ仲間と3年後の会社設立を目標として共有し、ノウハウを得るため2006年に人材派遣会社に就職した。2008年12月、仲間と共にRAYERED(株)を設立し、2010年からは代表取締役に就任。ビジョンの共有を核とする人事コンサルティングや、人事適性検査にフィードバックを付けるサービスはリピーターが多い。人事適性検査をフル活用した独自のスキームにより、企業と人のベスト・マッチングを提供している。

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