依存症とは誰にでも襲いかかる・・・学歴や性格などは関係なく、脳に働きかけるもの:人事目線での現場のリアル

人事適性検査

適性検査を用いて新卒・中途採用や組織変革を支援していると、様々な人間模様が見えてくるもの。

理想と現実、本音と建前、机上の理論や綺麗ごとなど…。

経営者の思惑と現場の気持ちが乖離している事なんて、日常茶飯事。

今回は「依存症とは誰にでも襲いかかる…学歴や性格などは関係なく、脳に働きかけるもの:人事目線での現場のリアル」という話。

人事目線での現場のリアルを、代表の尾登がお伝えします。

 

依存症と聞くと、皆さんはどのようなイメージを思い浮かべるでしょうか。

世の中には、依存症になってしまう要素が数多く存在します。

タバコ、お酒、ギャンブル、恋愛…最近では、インターネットやSNS、ゲーム内でのガチャにも通じるものかもしれませんね。

こういった依存症と言うのは、誰にでも起こりうること、ご存知でしょうか。

 

最近でこそ、病気であるという認識が高まっているようにも思います。

依存症関連の書籍も、多数出版されておりますし。

そこには、「脳の報酬系の異常」なんて表現がされていたりします。

脳が反応してしまうので、自分の意思ではどうにもならないんですよね。

いわば、食欲や睡眠欲のような類です。

 

 

依存症ともなると、その行動の異常さに気づきにくかったりするものです。

そして、自然に自分の頭の中で正当化していきます。

大丈夫だと。

もしくは、その認識すらせず、無意識のうちにそのような行動をとる様になってしまうのです。

 

例えば、タバコ(ニコチン)依存症の場合。

朝起きて一服したがる方がいますが、無煙者からしたら信じられない行動です。

朝起きてすぐ煙を吸いたがるなんて、考えられませんよね。

 

このような事例が、色々な依存症にはおきているのです。

異常な行動なのに、気づかない。

大丈夫だと正当化してしまう。

やめようと思っていてもやめられないのです。

 

依存症には、それぞれ特徴的な行動があります。

これらの行動は、正常な方からすれば、異常とも言える行動です。

それを悪げもなくやってしまっていると、依存症の疑いがありそうですね。

 

【ギャンブル依存症】

 ・会社を休んでパチンコ店へ行く

 ・使ってはいけないお金に手をつける

 ・借金をしたお金でギャンブルをする

 ・ウソをついてでもギャンブルをする

 ・自分の生活費は節約し、ギャンブルにはジャブジャブお金をつぎ込む

 

【アルコール依存症】

 ・昼夜問わず、無性にお酒が飲みたくなる

 ・夕方17:00以降にお酒のことばかり考え、仕事を後回しにしたくなる

 ・毎日お酒を飲まないとやっていられない

 ・無意識的にお酒のこと、夜の飲み会の事が頭に浮かんでくる

 ・ひどい症状になると身体が震える

 

【スマホゲーム依存症】

 ・朝起きたら、まずはゲームアプリを開いてアイテムをゲット

 ・仕事中でも、ゲームをしてしまう

 ・ゲーム画面を見ないことが、ほんの数10分でも耐えられない

 

これらの事は、依存症本人からすれば、無意識的にやっていることです。

例え自覚していたとしても、それが異常であるという認識はありません。

むしろ、「大丈夫」「問題ない」という形で、自分を正当化するのです。

 

依存症は、その人の性格が良いとか悪いとか、学歴が高いとか低いとか関係ありません。

家柄も貯金額も、関係ありません。

人間であれば誰しもがかかりうる、病気です。

 

ギャンブル依存に関して、有名な話があります。

大王製紙前会長の書籍「溶ける」。

ギャンブル依存症に陥ってしまった、井川前会長の壮絶な記録です。

 

 

井川前会長は、カジノのバカラによって、100億円以上ものお金を失ってしまったのです。

 

表紙にも描かれておりますが、

 ・東大に現役合格し、

 ・42歳の若さで社長就任、

 ・芸能界にも顔が利き、

 ・まさに「成功」とも言える人生

だったはずなのです。

 

欲しいと思うものは、基本的には何でも手に入れる事ができたはずです。

むしろ、手に入れてきたでしょう。

お金も余りあるほどあったのに、それでもカジノというギャンブルにハマってしまったわけです。

 

詳細は書籍を読んで頂きたいですが、末期には

 ・休日には、必ず海外のカジノへ

 ・手持ちのお金がなくなるとキャッシング

 ・同時に、周囲の人間にも借り出す

 ・それでも足りなくなると、ショッピングで時計を買い、すぐに質屋に入れて現金化

   ※ラスベガスに質屋が多いのはその為とも言われています

 ・自分で現金を用意できなくなり、子会社の人間に、会社のお金を自分の口座へ振り込ませる

 ・それが積もりに積もって、106億8,000万円・・・

となっていました。

 

最初は、数百万円の手持ち金から始めたそうですが、最終的には数十億円を賭けてしまうほどの状態だったようです。

 「この勝負に勝てれば、数十億円勝てる」

 「その勝ち金で、会社から借り入れているお金を返済しよう」

という精神状態でした。

 

これは、井川前会長が特別なのではなく、ギャンブルをする人には共通している事なのです。

「勝ち金で借金を返済する」

そういう精神状態になってしまうのですよね。

ギャンブルをしない人からすれば、いかに異常な精神状態なのかが分かるかと思います。

 

ポイントなのが、この106億8,000万円という借金の返済。

井川氏は、どのようにして返済したのか?

 

実は「自身が所有していた株を売って返済にあてた」と言います。

これって、凄いなと思う反面、物凄く怖い事でもあるんです。

 

つまりは、

「106億8,000万円の資産(株)を持っていてもカジノ(ギャンブル)にハマった」

という事なのです。

 

 

一般的な考え方からすれば、100億円以上の資産を持っていれば、ギャンブルなんてする必要ないと思いますよね。

そんな事しなくても、有り余るほどの資産を所有しているわけですから。

しかも、短期で現金化が可能な株を持っていながら・・・です。

 

重ね重ねになりますが、お金持ちであるとか貧乏人であるとか、関係ないという事です。

学歴が高かろうが低かろうが、役職が高かろうが低かろうが、ギャンブル依存症には関連性がありません。

誰しもが陥る可能性がある病気が「ギャンブル依存症」なのです。

 

性格が良いとか悪いとかも関係ありません。

もちろん、性別も。

マウスの実験において、マウスがギャンブル脳になってしまったという結果も存在します。

 

政府やマスコミでは、ギャンブル依存症に関する問題が提起されていますよね。

しかし、ハッキリ言って建前でしかないと思っています。

とりあえず対策しています・・・という感じ。

効果が薄い事は百も承知、あくまでも表向きの姿勢。

そもそも日本国は、現役で世界一のギャンブル大国なのですから。

 

内心では、そんなこと知った事ではないのです。

カジノの誘致も、外貨の獲得や財源を得る為。

パチンコ・パチスロを規制しているのも、公営ギャンブルへと足を向かわせる為。

ギャンブル依存症に対して、本気で取り組むつもりはないのです。

結局は自己責任ですからね。

 

ただし、全てを規制してしまえば良いとは、私は思っていません。

娯楽を減らし続けてしまえば、他の部分に欲望がいくでしょう。

ギャンブル大国でありながらも、日本が世界有数の平和大国である事も事実。

国民1人あたりの殺人件数も、世界で1,2位を争うほど少ないのです。

一般庶民の欲望をギャンブルで発散させているおかげで、犯罪が世界的に見て少ない・・・というのも一理あるかも!?

 

話が少しずれましたが、いずれにせよ、ギャンブル依存症と言うのは誰しもがかかる可能性のある病気であることはお分かり頂きたいですね。

 

そして、ギャンブル依存症で怖いのは、お金の面だけではなく、人間関係の希薄化や労働意欲の低下も大きな問題なのです。

さらに言えば、「共依存」という状態にもなり、家族にも多大なる影響を及ぼします。

別記事にしますが、アプリゲーム内課金「ガチャ」も、ギャンブルと同じだと思っています。

脳に異常をきたすシステムや確率で当たりが出るようになっている事など、まさにパチンコ・パチスロとなんら変わりありません。

 

現代の子供達は、それこそ小学生から「ガチャ」というものに慣れ親しんでいるので、子供の頃からギャンブルをしているのと同じですね、はっきり言って。

個人的には、ギャンブルよりも時間や場所を問わない「ガチャ」の方が恐ろしいですね・・・。

ゲームだから良いだろうという、自分への正当性も説きやすいですし。

 

ギャンブルが趣味だという会社員、ガチャにハマっている子供。

自覚するのは難しいかもしれませんが、将来身を滅ぼす可能性が高いです。

依存しすぎて良いことはありません。

せめてほどほどに、自分でコントロールできるレベルで抑えないといけません。

 

解決策の一つとしては、そのような環境に身を置かないことですね。

まさに、薬物依存症の対策と、まったく同じだと言えます。

世の中に存在している依存症はどれも怖いですが、ギャンブル依存症も怖い依存症なのです。

 

東京オリンピックに向けてカジノ誘致をしている日本・・・。

将来的にカジノにハマってしまった自社の従業員が出たとすれば、どうなってしまうのか。

ギャンブル依存症の怖さを、人事部として把握しておく事も必要かもしれませんね。

 

 

尾登 正幸

ブログ著者:尾登 正幸

埼玉県出身。大学3年生の就職活動期に “人生を楽しむことを手伝える” 仕事での起業を決意。同じ志を持つ仲間と3年後の会社設立を目標として共有し、ノウハウを得るため2006年に人材派遣会社に就職した。2008年12月、仲間と共にRAYERED(株)を設立し、2010年からは代表取締役に就任。ビジョンの共有を核とする人事コンサルティングや、人事適性検査にフィードバックを付けるサービスはリピーターが多い。人事適性検査をフル活用した独自のスキームにより、企業と人のベスト・マッチングを提供している。

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