第4部氷河期世代(2)転職ブーム、偏る恩恵(働けない若者の危機)

人事ニュース

1月14日 日本経済新聞からの抜粋+一部編集です。

 

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第4部氷河期世代(2)転職ブーム、偏る恩恵(働けない若者の危機)

 

 

転職サイトに登録して1週間。

商社に10年間勤めた飯田浩(仮名、33)の元には次々と求人のメールが届いていた。

かねて興味のあった外資系製薬会社を選び、さきごろ就職を決めた 。

 

「こんなに簡単なものなのか」。

 

自分でもあっけない転職活動だった。

 

就職氷河期に新規採用を絞り込んだ日本企業。

その反動で働き盛りの30歳代の不足に苦しみ、社外に人材を求めている。

 

求人広告のインテリジェンスが公表する転職求人倍率は2012年11月に1・46倍と、調べ始めた08年1月以降で最高を記録した。

「世代のバランスを取る意味での中途採用意欲が高い」。

転職情報のDODA編集長、木下学は指摘する。

 

企業内でも氷河期世代の登用が進む。

ヤマト運輸は評価が高ければ、新卒や中途、契約社員などの採用形態に関係なく30歳前後でも管理職に登用していく制度を設けた。

 

 

◇即戦力に限定

 

 

一見すると、つらい思いをしてきた世代に再挑戦のチャンスが巡ってきているように思える。

しかし、全体としてはあくまで営業などの豊富な経験や実績、情報技術などの技能を伴った即戦力が中心だ。

新卒採用時に厳しい選考から漏れ、やむなくフリーターなど非正規雇用で過ごしてきた人に恩恵は及びにくい。

 

関西出身で東京の大学を卒業した青木育子(仮名、32)は正社員を目指したが内定を得られず、派遣で1年ごとに弁護士事務所、銀行などを渡り歩いてきた。

「気楽だからこのままでもいいかなって」。

半ばあきらめたように語る。

 

東京大学教授の玄田有史らの研究では、大学4年時の失業率が1%上がると、卒業後の12年間でその年代の収入は平均で約3%減る。

非正規社員への職業訓練が手薄で、一度非正規になると技能が身につかず、正社員への転身が難しいためと分析している。

 

 

◇遅れる公的訓練

 

 

厚生労働省は昨年12月、再就職を目指す失業者が中心だった公的な訓練制度を見直し、正社員として働いたことのない人も対象にする方針を示した。

それでも日本の職業訓練政策支出は国内総生産(GDP)の0・05%にすぎない。

欧州は0・3%前後の国が多い。

 

英国は1986年に始めた職業能力評価制度(NVQ)を年間延べ数十万人が取得する。

希望の業界を定めたうえ最長3年の職業訓練を経て再就職につなげる。

「少子高齢化の日本では長期的に労働者が不足し、放っておいても雇用環境は改善する」。

そんな楽観的な見方もある。

 

実際みずほ総合研究所の試算では、20年以降、大学の卒業者数は長期的な減少傾向に入る。

「企業の間で労働力の奪い合いが始まる」

(エコノミストの大和香織)

 

だが、これも今起きている30代の転職ブームと同じ構図ではないだろうか。

国際競争が激しくなる中、争奪の対象となる人材は新卒学生や一部の即戦力に限定されかねない。

 

人材コンサルティング会社マーサージャパンの中島正樹は

「日本の製造業で求められるのは高度な研究開発ノウハウを蓄積した人材に限られてくる」

と言う。

 

労働市場の需給に一喜一憂することなく、いったんレールから離れた若者にも技能を身につける場を用意する。

地道な取り組みの積み重ねこそが日本の人材の厚みを支える。

 

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年齢を重ねた転職は、即戦力を求められる。

これは、至極当然の事ですよね。

 

そして、グローバル社会の今は、変革を求められるものです。

単純作業は海外へと移管しがちなので、

「自分自身のブランド価値」

「日本人でなければならないとう差別化」

を考えていかねばならない時代となっています。

 

弱肉強食。

雇用する者と雇用される者。

 

非常に明確に分かれてきた時代なのかもしれませんね。

 

 

尾登 正幸

ブログ著者:尾登 正幸

埼玉県出身。大学3年生の就職活動期に “人生を楽しむことを手伝える” 仕事での起業を決意。同じ志を持つ仲間と3年後の会社設立を目標として共有し、ノウハウを得るため2006年に人材派遣会社に就職した。2008年12月、仲間と共にRAYERED(株)を設立し、2010年からは代表取締役に就任。ビジョンの共有を核とする人事コンサルティングや、人事適性検査にフィードバックを付けるサービスはリピーターが多い。人事適性検査をフル活用した独自のスキームにより、企業と人のベスト・マッチングを提供している。

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