異文化経営論A-3 「不確実性の回避」…ホフステッドモデル

人事適性検査

引き続き、ホフステッド4次元モデルを見ていきます。

 

※ホフステッド4次元モデル

・権力格差

不確実性の回避

・個人主義 vs 集団主義

・男性度 vs 女性度

 

ホフステッドは、不確実性回避指標(UAI:Uncertainty Avoidance Index)は、次の3つの項目から抽出しました。

 

①仕事上のストレス(job stress)

②ルールに対する志向性(rule orientation)

③現職における希望勤続年数(How long will you continue working for IBM?)

 

この数値で分かる事は、

「ある文化の構成員が、確実でない道の状況に対して恐れを抱く度合い」

です。

つまりは、安定志向であり変化を嫌う度合い…とも言い換えられますよね。

 

以下、その指標になります。

一部だけ抜粋しますので、欧米・中南米・アフリカ等に興味がある方は、書籍をご覧下さい。

 

【50ヶ国と3地域の不確実性回避指標(UAI)】

出典:異文化経営論の展開 馬越恵美子著 P93 第4章 多国間定量分析の検証

 

異文化経営論の展開

 

※日本…太字+下線

左:Score rank、中央:UAI score、右:Country or region

 

1 112 Greece

5 94 Belgium

5 94 Salvador

7 92 Japan

8 88 Yugoslavia

16 85 South Korea

26 69 Taiwan

30 64 Thailand

41 48 Indonesia

43 46 USA

44 44 Philippines

45 40 India

46 36 Malausia

49 29 Hong Kong

53 8 Singapore

 

日本の数値が高いのが、見てとれると思います。

勿論、日本人が安定志向にあるのは、皆さんも心当たりがあるのではないでしょうか。

 

このデータを見ると、シンガポールが驚異的に低い数値となっていますよね。

つまりは、未知の状況も変化も恐れない…という事になります。

 

シンガポールには色々な国が進出しておりますが、経済発展の力もあるでしょうが国民性もあるのでしょうね。

今のグローバル時代には、非常にプラスな国民性とも言えるでしょう。

 

そして、もう一つ特徴的なのが、やはりギリシア。

今、欧州危機の中心とも言えるギリシアが、非常に高い数値となっています。

 

最も、ギリシアは公務員が非常に多い国。

債務超過の為に公務員を削減しようにも、大きなデモが起きてしまう始末。

ギリシアという国民性が非常に安定志向であるというのが、こちらの指標でも良く分かると思います。

だからこそ、公務員が多いのでしょうね。

 

逆言えば、日本も対岸の火事ではないというのが分かります。

 

現に、今学生にとって一番人気の職種は「公務員」。

日本人も、非常に安定志向が強い国民性と言えるのです。

今回の「不確実性の回避」という指標だけで見れば、ギリシアと非常に似ているのですよね。

 

異文化経営論と言うのは、会社経営の組織において、今後注目度が上がってくると予想しています。

また、異文化経営論を学ぶ事で、世界情勢の事がより理解できるようになるかもしれません。

今回のギリシア騒動の理由の一つが、国民性が安定志向にある…というのも一因だと思います。

 

最も、「国民性」という英語は存在せず、意味合いは「文化」「教育」が近いとも言われていますが…。

日本語で言うところの「国民性」は、結局のところ「文化」「教育」の結果であると。

 

今回は「国民性」という言葉を用いますが、「国民性」が分かれば状況の理解度も増すのではないでしょうか。

これもまさに、ダイバーシティーの理解の一つと言えますよね。

 

 

 

尾登 正幸

ブログ著者:尾登 正幸

埼玉県出身。大学3年生の就職活動期に “人生を楽しむことを手伝える” 仕事での起業を決意。同じ志を持つ仲間と3年後の会社設立を目標として共有し、ノウハウを得るため2006年に人材派遣会社に就職した。2008年12月、仲間と共にRAYERED(株)を設立し、2010年からは代表取締役に就任。ビジョンの共有を核とする人事コンサルティングや、人事適性検査にフィードバックを付けるサービスはリピーターが多い。人事適性検査をフル活用した独自のスキームにより、企業と人のベスト・マッチングを提供している。

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