“週40時間を基本とする労働時間規制を外す”…時間単位から成果単位へと変わる働き方

人事ニュース

 

今、”雇用”に関する分野において、大きな変化が起きようとしています。

「ホワイトカラー・エグゼンプション」

働いた時間ではなく、成果に給与を支払うという働き方が、新たに導入されようとしています。

時間ではなく成果で管理する。

それを、管理職以外にも適用させよう…という動きが広がっているのです。

 

 ※5月29日…日本経済新聞:労働時間規制を緩和、高度専門職、働き方柔軟に

 ※5月29日…日本経済新聞:ホワイトカラー・エグゼンプション

 

通常、従業員は労働時間によって管理されるものです。

1日8時間労働、週40時間労働、それを超えれば残業。

休日に出勤すれば休日出勤、深夜に働けば深夜手当が付いたり。

 

その労働時間に対する管理外となるのは、管理職だったり会社役員だったりしました。

成果を問われる役職に就いている者は、労働時間では管理されません。

極端に言えば、結果さえ出していれば、遅刻OK・早退OK・寝ててもOK。

出勤時間・退勤時間という概念は存在しません。

 

そう言った「時間管理ではなく成果管理を一般職にも適用させよう」と言うのが今回の狙い。

実施されれば、大きな雇用制度の変革と言えるでしょうね。

 

労働時間で管理される働き方には、デメリットが存在します。

同じ仕事を短時間で済ませる人よりも、時間をかけた方が給料が増える。

わざと仕事を遅らせ、残業した方が金銭的に潤う。

その為、わざと残業し、あえて残業代を貰うような動きをする従業員も出てきました。

そのような事が問題視されてきていたのですよね。

 ※サービス残業になっている従業員もいるので、全てに当てはまるとは言いません

 

似たような働き方は、確かに存在しています。

 ・1ヶ月単位、1年単位、1週間単位の変形労働時間制

 ・フレックスタイム制

 ・企画業務型・専門業務型裁量労働制

企画職やデザイナー職等は成果が見えにくい為、所定・法定労働時間勤務したとみなされる制度です。

 

とは言え、これらも結局は「労働時間で管理」されます。

そこが、ホワイトカラー・エグゼンプションとの大きな違いです。

ある程度自由は認められつつも、「労働時間で管理される」という枠組みからは外れません。

所定労働時間・法定労働時間”働いたとみなす”だけであり、本質的には労働時間管理です。

 

ホワイトカラー・エグゼンプションと言うのは、これらとは一線を画し、

 ・労働時間の規制無し

 ・深夜・休日手当て無し

という働き方を指すものです。

 

上記にした通り、まさに管理職・会社役員を同じ枠組みであり、それを一般職にも広げようという狙いです。

 

この件に関しては、長期労働を助長してしまうのではないか…という意見も数多くあるみたいですね。

残業を減らすどころか、残業を増やす事に繋がる。

休日出勤や深夜残業も支持し放題…なんて。

 

確かに、悪質な企業であればそれも可能でしょう。

新たな制度が出来るという事は、それを悪用しようと考える人が出てくるという事であります。

何かしらの規則なども、必要になるかもしれませんね。

 

現状、首相は働く人の労働時間規制を外すホワイトカラー・エグゼンプションの対象を

 1. 職務の範囲が明確で高い職業能力を持つ人材

 2. 希望しない人には適用しない

 3. 働き方の選択によって賃金が減らないようにする

と言及しています。

 

ここで話し合いが進んでいるのが、どのあたりまで対象にするのか…という事です。

いきなり対象が従業員全員というわけではありません。

その案も、民間と厚労省では異なっています。

 

◇民間提案

「自己管理できる労働者」

 ・課長補佐級の管理職候補

   商品開発リーダー、海外事業リーダー、事業計画リーダー…

 

◇厚労省案

「世界レベルの高度専門職」※年収基準有

 ・金融ディーラー

 ・コンサルタント

 ・研究職

 

◇対象外

 ・現場業務(トラック運転手、建設作業員、自動車組立工)

 ・定型・補助業務(一般事務、販売・接客)

 ・若年層

  ※若年層に関しては、フレックスタイム制の適用も不可とされている

 

労働関連の問題は、直接生活に関わってくる事なので、非常に重要ですよね。

今後の動きに注目です。

 

 

 

尾登 正幸

ブログ著者:尾登 正幸

埼玉県出身。大学3年生の就職活動期に “人生を楽しむことを手伝える” 仕事での起業を決意。同じ志を持つ仲間と3年後の会社設立を目標として共有し、ノウハウを得るため2006年に人材派遣会社に就職した。2008年12月、仲間と共にRAYERED(株)を設立し、2010年からは代表取締役に就任。ビジョンの共有を核とする人事コンサルティングや、人事適性検査にフィードバックを付けるサービスはリピーターが多い。人事適性検査をフル活用した独自のスキームにより、企業と人のベスト・マッチングを提供している。

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