今後の世界にはクリエイターとサーバーしかいなくなる 破壊的イノベーションは職を生み、効率的イノベーションは職を奪う
11月22日 日本経済新聞からの抜粋+一部編集です。
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第2部小さくなった地球(1)2つのサーバー
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ミャンマーのヤンゴン近郊、朝8時。
NTTデータのソフト開発拠点で日本語の朝礼が始まる。
12月の開業に向けて、研修を続ける現地の若者15人の目は真剣だ。
大卒初任給は月100~200ドル程度。
社員は5年で500人に増える。
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都内の主婦、寺島香澄(30)はパソコンで内職に励む。
「家事と犬の世話の合間に」。
文章をインターネット用テキストに書き換え、1本4千円だ。
寺島に仕事をつなぐクラウドワークス(東京・港)の登録者は創業1年で8千人になった。
グローバル化とネットの進化は雇用のあり方を大きく変えた。
ミャンマーと日本の2つの例は、企業が高いスキルや低賃金の人材をどこからでも調達できるようになったことを示す。
オフショアリング(海外への開発委託)を進めるNTTデータはインドに1万人、中国に3千人の技術者を抱え、来年にも3万人の国内従業員を海外が逆転する。
「次はバングラデシュだ」。
グローバル開発推進担当部長の堀川雅紀(45)はコストの安い「頭脳」を求め続ける。
「今後の世界は2種類の労働者しかいなくなる。
クリエーターとサーバー(奉仕者)だ」。
米コラムニストのトーマス・フリードマン(59)は近著でこう言い切る。
ネットとグローバル化は労働の価値を世界的にフラットにし、新興国や非雇用者層にも雇用を生む。
その結果、一握りの雇用の創造者とそれを支える大多数の奉仕者に働き手を区分するという。
さらに……。
◇代替可能がカギ
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日本IBMはビッグデータを解析して経済指標を予測するシステムを開発した。
約30万件の経済関連ニュースから「生産」「雇用」などのキーワードを抽出して分析。
製造業の景況予測ではプロのエコノミストの予測と同等の結果が出た。
ネット上のデータを用い、アナリストなどの仕事をコンピューターがこなそうとしている。
クラウド上のサーバーは知識階層とされた職をも奪う。
「破壊的イノベーションは職を生み、効率的イノベーションは職を奪う」。
米ハーバード大教授のクレイトン・クリステンセン(60)は言う。
雇用を生んだクリエーターの筆頭は米アップル創業者の故スティーブ・ジョブズだろう。
関連産業の雇用創出効果は生産拠点の中国を含めると世界で100万人を超す。
日本ではどうか。
過去10年、企業買収も含め従業員数を最も増やした企業の一つはソフトバンクだ。
連結従業員は5倍の2万3千人になった。
社長の孫正義(55)は
「創業以来一人も解雇していない」
と自負する。
そんな孫の後継者を育てる試みが2年前から進む。
社内外から300人のクリエーター人材を集め、事業創出のアイデアを競わせる。
ライバル企業の社員や教授、医者。
「候補者をすでに数人採用した」
と人事部長の青野史寛(50)と話す。
サーバー(奉仕者)とサーバー(コンピューター)。
ネット革命は2つのサーバーを急速に増やす。
あなたの仕事は代替可能ですか?
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・小さくなった地球
…「グローバル」世界になり、距離が縮まった
・破壊的イノベーションは職を生み、効率的イノベーションは職を奪う
・今後の世界には、クリエイターとサーバーしかいなくなる
…仕事を生み出すものとそれをこなすもの、つまりは経営者と労働者の差がさらに明確になる
・自分の仕事は代替可能か?
…可能ならば、その仕事は世界に奪われるかもしれない
という事ですよね。
非常にシビアな内容だと思います。