競合他社への転職制限、契約の代償措置焦点に

人事ニュース

11月5日 日本経済新聞からの抜粋+一部編集です。

 

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競合他社への転職制限、契約の代償措置焦点に

 

 

退職後の競合他社への転職や競業を一定期間禁止する契約(競業避止義務契約)について、企業と労働者の双方が見直しを迫られている。

職業選択の自由を制限するにもかかわらず、現場では機械的に結ぶことも多い。

契約が適切かどうかは個別に判断されるため、契約の目的や内容を改めて考えておく必要がある。

 

競合他社への転職などを制限する契約は会社側と従業員が話し合って決める。

妥当かどうかは転職禁止の期間や地域的な範囲が適切かどうか、契約によって労働者側に生じる不利益を給与・賞与で補っているか(代償措置)、会社側に損害が生じているか、などがポイントとなる。

 

労働関係法には具体的な規定がなく、裁判所は事例ごとに民法の定める公序良俗に反するかどうかで判断している。

この契約を巡る裁判は多い。

 

例えば英米系保険ブローカーのエーオンジャパンが、競合のウィリスジャパンに移籍した男性に、競業禁止に違反したとして同社で働かないよう仮処分を申し立てた事例だ。

大阪地裁は10月19日、競業禁止契約は公序良俗に反するとして、会社側の申し立てを却下した。

 

男性は入社時、誓約書の形で

「在職中あるいは退職後も、会社と競合する業務を顧客のために行わない」

と約束した。

 

この契約は競業禁止期間と範囲を明確に定めておらず、地裁は

「無制限に義務を負わせている」

と違法性を指摘した。

 

競業禁止に伴う代償措置についても踏み込んだ。

 

会社側は男性に高い給料を払っていたとしたが、地裁は、優秀な社員だったこの男性が高給をもらうのは当然で

「代償措置なく職業選択の自由を制限する義務を負わせることは、著しく妥当性を欠く」

と判断した。

 

同社は男性が培った人脈は会社の財産だ、とも主張。

ところが地裁は、営業マンが以前の人脈を使うことは違法でなく

「そうした行為も制限するなら適切な代償措置が必要で、競業禁止の範囲も最小限にすべきだ」

と退けた。

 

一般に、不正競争防止法が対象とする企業秘密の流出を防ぐために、会社が代償措置なしで退職者の転職を制限することはあり得る。

大阪地裁の判断は、人脈や顧客など企業秘密に該当しないものまで守ろうとして競業を禁じるのなら、相応の金銭補償が不可欠だと明示したといえる。

 

外資系保険会社の元幹部が転職前の会社を訴えた裁判では、東京高裁が6月に 

「転職禁止の期間や範囲を定めておらず、代償措置も不十分」

として、転職禁止契約を違法とした。

 

幹部であっても代償措置を含めて会社と対等に交渉するのはなかなか難しい。

 

専門家からは

「契約ルールを法制化すべきだ」

との声も上がっている。

 

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今回の結果によって、転職の制限に関しては慎重にならざるを得なくなりましたよね。

 

特に、グローバル社会が浸透していく事で、外国人や留学生の入社が増えてきました。

海外では、終身雇用の文化はなく、転職する事はイレギュラーな事ではありません。

文化の違いに戸惑う事も、増えてきそうですよね。

 

労働契約は、モメる大きな理由の一つ。

記事にもある通り、きちんとしたルール作りが必要かもしれませんよね。

 

 

 

 

尾登 正幸

ブログ著者:尾登 正幸

埼玉県出身。大学3年生の就職活動期に “人生を楽しむことを手伝える” 仕事での起業を決意。同じ志を持つ仲間と3年後の会社設立を目標として共有し、ノウハウを得るため2006年に人材派遣会社に就職した。2008年12月、仲間と共にRAYERED(株)を設立し、2010年からは代表取締役に就任。ビジョンの共有を核とする人事コンサルティングや、人事適性検査にフィードバックを付けるサービスはリピーターが多い。人事適性検査をフル活用した独自のスキームにより、企業と人のベスト・マッチングを提供している。

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