シューカツ受難(1)「供給過剰」の大学生

人事ニュース

11月1日 日本経済新聞からの抜粋+一部編集です。

 

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シューカツ受難(1)「供給過剰」の大学生

 

 

日本の若者の将来は就職活動の成否に大きく左右されてしまう。

にもかかわらず「就活(シューカツ)」には学生への情報提供の不足など多くの不備や矛盾が潜む。

 

 

◇内定無い10万人

 

12月1日、大学3年生の就職活動が始まる。

それを前に焦りを募らせるのがまだ内定のない4年生。

その数は10万人を超えるとみられる。

 

「適性や希望はもう関係ない。

卒業までには何とか就職先を見つけたい」。

 

神奈川の私立大4年生、宮内晶子(22=仮名)が就活を始めて約1年。

事務系を中心に数十社を回った。

卒業論文の締め切りが近いが、不安で手に付かない。

従業員1000人以上の大手企業の採用数は1993年の10万人から増加傾向にある。

しかも少子化で学齢人口は93年を境に減少に転じた。

採用枠が増え、ライバルの同世代は減っているのに、なぜ就活に苦しむのか。

 

理由の1つは大学生の「供給過剰」にある。

 

85年に26・5%だった大学進学率は2012年には50・8%に上昇。

毎年の卒業生は37万人から55万人に急増した。

 

大手企業の採用は増えたとはいえ15万人程度で卒業生の3割未満だ。

人気100社に限ると1・6万~1・8万人と3%分。

「せっかく自分に投資して大学まで出るのだから」。

学生は早稲田大と慶応大の卒業生(計1・6万人)とほぼ同数の狭き門に殺到する。

 

インターネットが競争に拍車をかけた。

「エントリーシート」と呼ぶ応募書類をネット送信するようになった結果、文面をコピーすれば苦労せずに何社でも受けられる。

 

富士ゼロックスの11年春入社の新卒採用。

応募者は前年から4割も減った。

人気が落ちたからではない。

 

「どんな仕事に就いて、社会や顧客にどう貢献したいのか」。

 

同社を研究した上でエントリーシートに詳しく書くよう求めただけだ。

コピーによる志望はごっそり抜け落ち、動機が明確な学生に絞り込まれた。

 

「(英語検定の)TOEICを受験して」。

 

武田薬品工業は13年入社の新卒採用にあたり、ホームページで呼びかけた。

一部業務以外はTOEICで730点以上を応募条件としたのだ。

 

 

◇曖昧な応募条件

 

こうした基準を示す企業はまれだ。

多くの企業が公表する「求める人物像」に「コミュニケーション力」「チャレンジ力」という抽象的な表現が並ぶ。

不透明な採用基準が学生に過度の期待と不安を抱かせ、大量応募に走らせる。

 

中堅・中小企業に目を向ければ求人はたくさんある。

リクルートワークス研究所の調査では従業員1000人未満の企業の場合、来春採用の求人倍率は1・79倍。

300人未満では3・27倍だ。

 

人気企業を落ちた学生は徐々に中小企業に向かうが、人事コンサルタントの海老原嗣生は

「学生が積極的に中小企業を選ぶのを支援する施策が大切」

と話す。

 

若者の労働相談を受ける特定非営利活動法人、POSSE(東京)が学生約600人に実施した調査では、就活経験者の7人に1人がうつ状態だった。

 

法政大学准教授の上西充子は

「いまの大学生の就職活動は不安と不信に満ちている。

採用や労働条件に関する情報開示を進めるなど企業や大学、行政が幅広い角度から対策を考える必要がある」

と訴える。

 

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個人的には、疑問たっぷりの記事です。

中小企業を選ぶのを支援するとか、行政がどうとか。

その時点で、今の時代と逆行している気がします。

 

中小企業を選ぶのを支援して無理やり入れても、結局は辞めてしまう。

行政が対策しても、若者の気持ちを変えねば、まったく意味がない。

結局、学生の周囲を変えよう変えようとしているだけで、本人を変えようとしていないのですよね。

そういう学生は、企業は求めておりません。

 

学生自身が考え、行動しなければならない。

 

中小企業に来ないのなら、支援するのではなく、中小企業のブランディングを考えたり、本質をしっかりと磨くべきです。

その上で、自社の良さをアピールする事を考える。

やみくもに人材を求めても、伝わりませんよね。

 

動機を明確にしたエントリーシートの応募が少ないというのは、学生が「考えていない」証拠。

これでは、ベストマッチングなんて程遠い。

 

「就職活動は恋愛である」…なんて例え話を聞いたことのある学生も多いはず。

とりあえず付き合いたいから、誰彼かまわずラブレター(エントリーシート)を出す人と、付き合いたいと思うでしょうか。

付き合うためには、友達の支援が必要である…のではなく、自分自身を磨く事ですよね。

 

そして、自分自身で考える事です。

誰が好きで、どんなことが好きで、なぜ付き合いたいのか。

自分と付き合ったら、どんな楽しい事が待っているのか。

相手に興味を持ってもらいたい為に、色々と知ろうとするはずです。

誰でもいいから付き合って…とは恋愛では言わないのに、就職活動では言ってしまう矛盾。

 

現在は優秀な人材を求めて世界に出ている企業も増えています。

留学生の採用も、増えつつあります。

中小企業を紹介するなど、本質を捉えていない事をしても、若者の無職は減りません。

学生自身が変わらなければ、企業は採用しなくなっているのです。

 

大人は、そういう事をもっともっと若者に伝えていくべきですよね。

 

 

 

尾登 正幸

ブログ著者:尾登 正幸

埼玉県出身。大学3年生の就職活動期に “人生を楽しむことを手伝える” 仕事での起業を決意。同じ志を持つ仲間と3年後の会社設立を目標として共有し、ノウハウを得るため2006年に人材派遣会社に就職した。2008年12月、仲間と共にRAYERED(株)を設立し、2010年からは代表取締役に就任。ビジョンの共有を核とする人事コンサルティングや、人事適性検査にフィードバックを付けるサービスはリピーターが多い。人事適性検査をフル活用した独自のスキームにより、企業と人のベスト・マッチングを提供している。

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