打楽器たたき・ブロック組み立て・・・一体感型研修で職場力アップ

人事ニュース

8月8日 日本経済新聞からの抜粋+一部編集です。

 

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打楽器たたき・ブロック組み立て…――体感型研修で職場力アップ

 

 

◇言葉使わず、互いに信頼感

 

打楽器をたたき、ブロックを組み立て、自画像を描く……。

これらはすべて、最近の日本企業が取り入れている社員研修のメニューだ。

座学ばかりでは眠気を誘うから、というわけではない。

 

こうした研修こそが今、企業に求められているという。

その裏には、変わる職場の風景がある。

 

「ドンドン」

「シャカシャカ」

「ジャラジャラ」。

 

東京都内の音楽スタジオで、10人ほどの男女が輪になって様々な打楽器を打ち鳴らす。

 

 

◇目線で音リレー

 

指導役の佐々木薫さんが輪の中心に入り、指示を出していく。

3人を選んで他の手を止めさせ、「こんな音が、かき消されていたんですね」。

たたいている人から目線を送られた人が次にたたくという音のリレーを試み、さらに「ガルー」「ピンポン」と擬音をつけると笑いが起こる。

最後はメンバーが次々と中心に躍り出て、身ぶりだけで見事に演奏をリードした。

 

これは「ドラムサークル(DC)」と呼ばれる即興演奏だ。

イベントなどを盛り上げるために行われることが多いが、企業研修にも使われるようになった。

この日、体験していたのは野村総合研究所の社員ら。

 

在本葉月さん(37)は

「一人の音がはみ出た時に、みんなが足並みをそろえて歩む気持ちにさせてくれた。

人はそれぞれ個性があり、それを尊重することが大事とわかる」

 

と、楽しげに語った。

 

企業向け研修にDCが入るようになったのはここ5~6年。

会社が目標を達成し、働く従業員の満足度も上げるよう、組織のあり方を変える「組織開発」の手法として注目された。

社員がモチベーション高く個性を発揮することが会社にとってプラス、という考え方に基づくものだ。

 

DCをメニューに入れる組織開発コンサルタント、チームビルディングジャパン(東京都品川区)の河村甚社長は

「言葉を使わずとも周囲が自分を理解し、自分が周囲を理解して、“いいチーム”という意識が出やすい」

という。

 

 

◇内面の思い認識

 

同様に頭よりも手を動かす体感型の研修が、いろいろな形や色のブロック玩具「レゴブロック」を組み立てる「シリアスプレイ(SP)」。

デンマークで生まれ、4年前にロバート・ラスムセン・アンド・アソシエイツ(同千代田区)が日本で始めた。

 

やり方は、例えば参加者に「未来の自分」をイメージするものをヒト型ブロックなどを用いて作ってもらう。

 

さらに、現在の自分を象徴するブロックを1つ選び、未来の自分に近づく原動力となるものも作り、それぞれが何かを考えさせる。

「レゴで形作ることで、自分の内面深くにある思いが、より明らかになる」

とロバート社の蓮沼孝社長。

 

ジェイティービー(JTB)グループは今年7月、初めてSP研修をした。

対象は入社5~6年の若手。仕事も覚えて忙しくなるので、入社時の思いを忘れ、「このままでいいのか」と不安が出てくる時期だという。

そこで、キャリア開発の一環として「5年後のマイチャレンジ」をテーマにブロック作りをした。

 

JTB能力開発の栗田尚文さんは

「グループへの帰属意識を高め、目標をはっきり形作ってもうひと頑張りやろうと思ってもらいたかった」

と話す。

 

効果はてきめん。

最後に5年後の自分についてリポートを書かせると、みなスラスラと筆が進んだという。

 

こうした研修が求められる要因について、一橋大大学院の守島基博教授は、日本企業の「お祭り型の濃密な組織が崩れてきたため」と見る。

これまでは同じ町内会のような仲間意識があり、みこしを中心にしてわいわいやっていると何となく社員共通の目標も決まった。

組織をわざわざ「開発」する必要はなかった。

 

だが、女性も非正規社員も、グローバル化で外国人の同僚も増え、価値観はみな異なる。

核家族化の中で育った若者は、そもそも集団を作るのが苦手だ。

事業本部制や持ち株会社など、会社組織の「ボックス化(細分化)」が進んだことも、いま一度人のつながりを作る必要を迫る。

 

体感型がもてはやされているのは言葉での研修よりも効果があることがわかったから。

例えば仲間を信頼するとはどういうことかをわからせるために、目隠しをして階段で後ろに倒れ、同僚に支えてもらうことを体感させると、胸にストンと落ちるという。

 

富士電機は鉛筆で自画像を描く「ドローイング」の研修を5年前から係長クラスに実施。

 

同社能力開発センターの芝田一郎さんは

「これまでと違った物の見方ができ、部下に対して高圧的ではなく創造性を持ったリーダーを育成することが必要になったから」

と説明する。

 

導者の米国人芸術家、クリスティン・ニュートンさんによると、新たな視点を学び、かつ自分にも絵心があることを発見、自信を持つ人が多いという。

手を替え品を替え、再びお祭り気分でみこしを担げるようになるのか。

組織力を引き出す工夫が求められている。

 

 

◇「働きがい見いだせず」6割…意欲高める工夫必要

 

組織開発が日本企業で注目されてきた理由として、働きがいを失っているサラリーマンが増えていることもあるようだ。

 

コンサルティング会社、ヒューマンバリュー(東京都千代田区)が2010年12月に実施した、民間企業で働く1032人を対象にしたネット調査によれば、「今の仕事に働きがいを感じている」と回答した人は42・3%。

残る6割近い人が、働きがいを見いだせていなかった。

 

同社の川口大輔・主任研究員は

「働く時間は一日の大半を占める。

それが、会社に行く前に魂を玄関において、ただいまで取り戻すような働き方では悲しい」

と指摘する。

 

ただ、「人に喜ばれること」「新しいアイデアや知識を創造すること」など、誰でも働きがいを高められる要素は持っていることから、組織開発で一人でも働く意欲を感じる人を増やせれば「日本企業の活力につながる」と見ている。

 

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体験型研修の人気が、上がってきているようです。

座学より体験する…という事で、理解をの向上を図っているhのでしょうか。

 

研修は、とても難しいですよね。

それをしたからと言って、即効性があるものではない。

人材の育成というのは、やはり長い目を見ていかなくてはならないものだと思うのです。

 

そして個人的に思うのは、それ以前の段階。

入社する前に、ある程度キャリアプランを立てる…という事ですよね。

起業の理念やビジョンに合った人材を採用する事が、やはり大事なのです。

 

教育において、一番良いのは「自ら学ぶ」という事に付きます。

口で言うのは簡単ですが、実際には難しいのですけど…。

目的に沿った研修でなければ、やっただけで満足してしまう。

 

研修も、きちんと目的意識を持ってやらねばなりませんよね。

 

 

尾登 正幸

ブログ著者:尾登 正幸

埼玉県出身。大学3年生の就職活動期に “人生を楽しむことを手伝える” 仕事での起業を決意。同じ志を持つ仲間と3年後の会社設立を目標として共有し、ノウハウを得るため2006年に人材派遣会社に就職した。2008年12月、仲間と共にRAYERED(株)を設立し、2010年からは代表取締役に就任。ビジョンの共有を核とする人事コンサルティングや、人事適性検査にフィードバックを付けるサービスはリピーターが多い。人事適性検査をフル活用した独自のスキームにより、企業と人のベスト・マッチングを提供している。

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