FCバルセロナに学ぶ人材育成術-監督(管理者)の役割
【FCバルセロナの人材育成術 なぜバルサでは勝利と育成が両立するのか】
前回は「育成」でしたが、今回は「監督(管理者)の役割」。
バルセロナというチームがサッカーチームを築き上げていく過程において、大事にしている事をご紹介。
チームを磨いて試合に勝利し、優勝をする。
それは、経済界においての組織論と、少なからず繋がる部分はあると思います。
◇グアルディオラ氏
「サッカー選手一人ひとりは、それぞれエゴ(自我)と希望と問題を抱えており、ロッカールームのメンバー
全員がそれと共存していかなくてはならない。
そして、監督は全員が全員を尊重するような妥協点や落としどころを見つけ、ロッカールーム内のバランスを
維持しなければならないのだ。」
「監督の目標は、選手各自の本質と特性を考慮し、各選手のハイパフォーマンスを引き出し、そしてそれをチ
ームとしてまとめ上げることにある。
選手一人ひとりで扱い方は違う。
チームメイトの前で公然と叱ったほうが目が覚める選手もいれば、こっそりと悪いところを指摘してやらない
といけない選手もいる。
監督が決して見失っていけないのは、チームの野望は選手個人の野望よりも重要だという事だ。
選手はエゴイストだが、監督も本来はエゴイストだ。
しかし、両者の決定的な違いは、監督のエゴイズムはチームに功績をもたらすためにある、という点だ。」
「成功の秘訣は細部をよく観察する事にある。
あらゆることが既に機械的に進行してしまう週末の試合よりも、毎日の出来事に多くの注意を払うべきだ。
私達は毎日、選手の精神状態や顔つき、そのほかどんな些細な事にも、何千というほとんど読み取れない
ような小さな事柄にも変化が無いか、常に注意を払っている。
なぜなら、そのような細部が試合結果を大きく左右するからだ。
だから、観察がカギなのだ。」
◇ビラノバ氏
「ロッカールームには、様々な性格、文化、国籍の人々がいる。
監督やコーチの務めは、お互いに尊重し合うようにすることと、個人的な人間関係がパフォーマンスに影響を
及ぼさないようにする事だ。
必ずしも友達になる必要はなく、プロとして互いに敬意を持っていればいい。
ロッカールームの中では最低限の品行が求められるが、選手全員を同じように扱う事はしてはいけない。
選手たちも人間であり、ほかの人々と同じく、みんなそれぞれ違うからだ。
選手一人ひとりに合った方法で対応する事の大切さを、忘れてはならない。」
「この監督には自信と決断力がある、と選手たちに信頼されることはとても重要な事だ。
たとえ監督が今言っていることにあまり意味がないとしても、そんな時でさえ、監督は選手たちに優柔不断な
面を見せてはいけない。
常に自信に満ちた行動をとらなければいけない。」
「みんながみんな同じ人間じゃないことを考慮しなければいけない。
全員が守るべき基本的なチーム規範はあるが、監督は選手一人ひとりの個性を把握しておく必要がある。」
グアルディオラ氏やビラノバ氏の話というのは、経営者はもちろんマネージャー職としても覚えておくべき内容だと思います。
一言で言えば、選手は一人ひとり違うため、個性をしっかりと把握しておくべきである。
それが、チームが勝利するためには、ひいてはリーグ戦で優勝する為には必要な事である…ということですよね。
プロサッカー業界では当然のことなのでしょうが、これは経済界にも通じる事なのだと思います。
一人ひとりの個性を把握し、いかにチームとして、会社としてパフォーマンスを上げていくのか。
どのような対応をするのが最適なのか、教育・研修を行うことが最適なのか。
それは、まず社員の事をよく知らなければ、どうする事もできませんよね。
昔みたいに、全員に対して同じ教育をし、平均化させる。
そして、会社から指示を与えられた事をしっかりとこなす事ができるようにする…。
そのような時代では、既に無いはずです。
一人ひとりには個性があることを認識し、一人ひとりにあった対応・教育をすべきなのですよね。
プロサッカーの世界と経済界、非常に通じる部分があるのではないでしょうか。